告知から共感へ——発信の転換点
非営利型一般社団法人 遊びでまちづくりする準備室のメンバーインタビューおよびInstagram投稿用画像制作を担当しました。
今回取材したのは、経営企画室長を務める まみこさん。社会福祉士として障害者の就労支援に携わり、現在は支援者支援を軸に活動しています。
同法人の活動「まちのスコーレ」のInstagramはフォロワーが2,000人を超え、投稿をきっかけにイベントや活動へ参加する人も多く、ターゲットとの重要な接点となっています。
これまでの告知・報告中心の発信に加え、今後は活動の背景にある意義やビジョン、団体そのものへの理解を深めていく発信にも力を入れていく方針でした。
ただ、団体の理念や価値観を抽象的に語るだけでは、ターゲットの心には届きにくい。
そこで、それらを体現しているメンバーのストーリーを伝える取材が求められました。
共感を生む取材設計プロセス
今回の取材のポイント——「物語」に深みを持たせる
今回の取材で意識したのは、団体での活動だけでなく、それ以前の経験までさかのぼり、まみこさん個人の歩みや想いを深く掘り下げることでした。
どのような原体験が今の実践につながっているのか。どんな課題や葛藤を経て、どんな社会を願っているのか。
その物語に深みを持たせることで、理念が説明ではなく、自然と浮かび上がる流れを目指しました。
そして、読み手がそれを「自分にもつながる話」として受け取り、共感から行動につながっていくことを意識しました。
事前リサーチと質問設計
取材にあたってまず行ったのは、社会福祉士の専門性やまみこさんが関わっている「日本ソーシャルワークリーグ」の活動について丁寧に理解することでした。
調べていく中で印象的だったのは、日本ソーシャルワークリーグのビジョンに掲げられている言葉でした。
「自分の経験、価値観、強み、全てを活かして自分らしく生きられる社会を実現する」
支援の対象者だけでなく、支援する側もまた「自分らしくあっていい」という考え方。そこには、まみこさんが大切にしている価値観が色濃く表れているように感じました。
一方で、まちのスコーレもまた、遊びを通して一人ひとりが「自分らしさ」を探求できる場を目指しています。
活動領域は異なっていても、根底に流れている思想は重なっているのではないか。
そう考えたとき、今回の取材を貫くキーワードとして浮かび上がってきたのが、「自分らしさ」でした。
この共通項を軸に据え、まみこさんの実践と、まちのスコーレの活動を重ね合わせながら深掘りできるよう、質問設計を組み立てていきました。
取材の中で見えてきた本質

まみこさんは、障害者の就労支援において、「本人と周囲の関係性づくりを土台に、好き・得意を活かして自分らしく働ける環境を整える」という視点を大切にしていると話してくださいました。
さらに、少年院での関わりの中で感じていることとして、
生きづらさの根本には、周囲との関係性の問題がある。
世の中の「普通」から少し外れると、先入観によって関係がこじれてしまう。
ここからさらに「自分らしさはなぜ大切?」と深掘りしていきました。
自分らしさが活かされる環境では、自然と「相手のために何かしたい」という気持ちが生まれる。
自分の感情が動けば、相手の感情も動く。
その循環が関係性を深めていく。
人と人の関係性と自分らしさを結びつけるこの言葉こそが、今回の取材で浮かび上がった本質でした。
本質からメッセージへ

読み手が一歩踏み出せるようなメッセージを届けたい。そう考え、まみこさんには「自分らしさを見つけるには、どうしたらいいと思いますか?」という問いを投げかけました。
自然体でいられる環境に身を置くこと。
安心して「ここに居ていい」と感じられる場所を見つけること。
それは、少年院出院後の孤立を防ぐ活動に取り組み、社会の中で安心していられる場を一緒に探し、関わり続けているまみこさんの実践と重なる答えでした。
さらに、まちのスコーレで実現したい景色について尋ねると、こう語ってくださいました。
生きづらさを抱える人も、そうでない人も、みんなが自然に混ざり合い、それぞれが「ここに居ていい」と感じられる景色を創りたい。
まみこさんの歩んできた道のりや大切にしてきた価値観そのものが表れており、私自身も心打たれた言葉でした。
広報とは関係を育む営み
広報とは、単に情報を届けることではなく、ターゲットとの関係を築いていく営みです。一方的に発信して終わるものではありません。
発信を通じて共感が生まれ、行動が生まれ、その反応を受けとめ、また発信していく。
そうしたコミュニケーションを重ねながら、少しずつ関係を育てていく活動だと考えています。
人は、事実やデータだけでは動きません。
誰かの想いに触れたとき、はじめて心が動く。そして、心が動いてこそ、行動につながる。
だからこそ広報において大切なのは、活動の表層を伝えることではなく、そこにある「想い」に丁寧に向き合い、言葉にすること。
今回の取材でも、まみこさんの経験や葛藤、そして大切にしてきた価値観に光を当てながら、その想いがまっすぐ伝わるよう、言語化を重ねました。
想いが届けば、それは誰かの背中をそっと押す力になる。
そんな広報を、これからも続けていきたいと思っています。

